インディアン・スピリット
マイケル・オレン・フィッツジェラルド&ジュディス・フィッツジェラルド編
山川純子/訳 (解説:菅啓次郎)舩木卓也/演奏
… 「INDIAN SPIRIT」をめくって、アメリカン・ネイティブの顔写真に吸い寄せられた。数の多さもさることながら、各部族の衣装に包まれた顔のディテールが光を放つ。みんな、それぞれの文化に威厳と尊厳の気持ちがあるのだろう。写真のために着替えたハレの日の肖像だとしても、心を打つ。そして、彼らの語る短い言葉や諺には、感銘を受ける。そこには、我々が参考にしなければならないメッセージが沢山含まれている。…
私たち21世紀の人間は、どうすれば19世紀の北米遊牧インディアンの本質を理解できるだろうか。
平原や森を転々とするインディアンの姿は過去のものとなって久しいが、私たちは今なお、伝えられている戦士や賢者たちのことば、さらには写真などを通じて、幸いにもそのかけがえのない世界の精神を垣間見ることができる.本書は、かつて平原インディアンの生き方の手本であった偉大なる首長たちにささげる哀歌である。そして自らのことばや風貌によって、雄弁に、また切実に表現されている、彼らの英知と魂の美しさを伝える讃歌でもある。
(「はじめに」より抜粋)
マイケル・オレン・フィッツジェラルドは法学博士。インディアナ大学で北米インディアンの宗教・文化についての講座を受け持つ。編・著書多数。妻ジュディスは工芸作家、グラフィックデザイナー。夫妻ともにアプサロガ族の養子となり、クロウ族の高名な精神的リーダーであった故トーマス・イエローテイルをはじめ、他部族の賢者とも親交がある。夫妻の共同編集による書籍は、本書のほか、The Spirit of Indian Women(2005)やChristian Spirit(2004)がある。
翻訳者。アリゾナ大学美術史学修士修了。1990年から約8年間アメリカに滞在、アルバカーキ、トゥーソン、シアトルに住み、タオス、アコマ、ホピなどプエブロ・インディアン居留地を訪ねる。平原インディアンとの出会いは、ジョニ・ミッチェルの「ラコタ」。本書翻訳中も愛聴、彼らについて知れば知るほどその歌詞は切ない。訳書にバニース・アイゼンシュタイン『わたしはホロコーストから生まれた』(原書房、2009)。
1957年に島根県松江市に生まれる。83年から平原インディアン文化と関り、サウスダコタ州のローズバッド・スー・インディアン居留地とモンタナ州、フラットヘッドインディアン居留地にある部族自治大学にてインディアン学を学ぶ。89年からインディアンビーズ作家として、またインディアンフルート奏者として公演やネイティブ文化レクチャーなどの活動を行っている。
翻1958年生まれ。比較文学者。明治大学大学院理工学研究科新領域創造専攻ディジタルコンテンツ系教授(コンテンツ批評、映像文化論)。翻訳理論、移民・亡命者の世界文学。エスノポエティクス、文学と隣接領域(人類学、地理学、生態学)の関係を研究。
著書に『オムニフォン<世界の響き>の詩学』『ホノルル、ブラジル』『本は読めないものだから心配するな』『斜線の旅』『Agend'Ars』などがある。他に仏・西・英語からの、哲学、生物学、人類学、文学などのジャンルにわたる訳書多数。
「Mon pays natal:http://monpaysnatal.blogspot.com/」
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