環境教育学のために:基礎理論を踏まえて越境する
今村光章
(いまむら・みつゆき) 著
本書は環境教育学の基礎理論の構築、および、その深化と越境を求めるという複眼的な視点を併せ持ち、環境教育の発展のために教育学的見地からアプローチした意欲的な研究書である。前半では基礎理論の構築を目指し、後半では環境教育の教育的価値論の検討と他の教育分野への越境をもくろんでいる。
第一部の「環境教育学の基礎理論」では、学理論の構築を目指すために、用語の詳細な検討と環境教育の黎明期の歴史について検討する。用語、環境教育史、環境問題史を概観した後で、教育学的アプローチの特質と意義やその必要性、理論的な研究の意義について論じる。底流に流れる問いは「そもそも環境教育とは何か」である。
第二部の「環境教育学の越境を求めて」では、環境教育のダブルバインド状況を描出し、環境教育における教育的価値論の必要性を確認する。また、環境教育の教育的価値論を本格的に検討する。さらに、環境絵本を手掛かりに環境教育の領域の境界を超える試みを行う。底流に流れる問いかけは「環境教育はなんであることにしようか」である。
1965年生まれ。京都大学教育学部卒業 京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了(教育学専攻)。博士(学術)。現在 岐阜大学教育学部教授 岐阜大学教育学部附属小中学校統括長(併任)。
単著に『環境教育という〈壁〉:社会変 革と再生産のダブルバインドを超えて』(昭和堂 2009 年)、『アイスブレイク:出会いの仕掛け人になる』(晶文社 2014 年)ほか。編著に、『環境教育学』(法律文化社 2012年)、『環境教育学の基礎理論』(法律文化社 2016年)ほか。
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