清く香しく
法頂和尚随筆撰集
法頂 著
河野 進 訳
独り生きる人びとは、泥の中でも汚れない
蓮の花のように生きようとする。
法頂和尚は繊細な感覚の詩人である。
山中に独り暮らす彼を、小鳥や野の花、風や雪が祝福する。
真の孤独と、深い悟境から発する言葉は、日本人の心にも深く染みいるだろう。
何十億ものお金を費やして豪壮な寺を建造し眩しく飾り立てたとしても、それは宗教の本分ではない。
たとえ崩れかけた小屋に住もうとも、覚めた魂で発心修行し、正しく教化するなら、そのとき初めてこの地に仏教が新たに芽吹くことだろう。
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1932年、韓国全羅南道海南に生まれる。1955年、暁峰禅師のもとで出家。70年代、「ハングル大蔵経」の訳経に献身するとともに民主化運動にも加わる。70年代末、禅僧としての本分に帰るべく、すべての職を辞して曹渓宗本山、松廣寺の裏山に仏日庵を結び自炊生活を始めた。また『仏教新聞』の主筆も務めた。法頂和尚は現在、独自の生活スタイルを保つために、江原道の人知れぬ山奥の庵で、質素な自炊生活を送っていたが、2010年3月、入寂。享年78歳。