くろねこたちのトルコ行進曲
三枝和子 著・朴賢淑 絵
序文 大庭みな子・跋文 岩橋邦枝
三枝和子氏の遺作童話
サブちゃんは、ピアノおばさんのところへおけいこに通っていますが、のらねこと遊んでばかり。ピアノはあまり好きではありません。ある日、のらねこのクロが車にはねられて…。。
三枝さんが亡くなる前に一篇の童話を親しい編集者のもとに託されたと聞き、その原稿を見せていただいてひどく感動し、感心した。……作家はみんな最後には童話のようなものを書きたいと思っているのではないか
この慈みを湛えた美しい童話は、三枝さんが彼女らしいさりげなさで、そっと私たちへ贈ってくれた形見のように思われる。
1929年3月31日神戸市に生まれる。15歳から小説を書き始める。関西学院大学、同大学院に進学しドイツ哲学を学ぶ。『処刑が行なわれている』(69年・審美社)で田村俊子賞、『鬼どもの夜は深い』(83年・新潮社)、「響子シリーズ」(88~94年・新潮社)、『隅田川原』(82年・集英社)、『女性のためのギリシア神話』(95年・角川書店)など多数。50歳を過ぎてギリシアに長期滞在し、ギリシアの神話・悲劇を通して男女の差異に注目。そのジェンダーの視点を日本の古典文学に応用した多くの作品がある。半年以上を過ごした山寺で、そこに集まる猫たちとの交流を描いたエッセイ集『今は昔、猫と私の関係』(2002年・講談社)には、猫好きの人柄がよく表れている。2003年4月24日歿。
追加(奥付より)
この作品は、著者が亡くなる2ヶ月あまり前に書き上げ、「本稿の取り扱いについてはすべてを任せる」という言葉とともに編集者に託されたものです(風日舎)
1926年生まれ